2009年8月13日木曜日

Am I ”really” ready for the race ? : TP challenge - 3

その後LEGLUSは無事にLong Beachまでの回航を終え、6月25日早朝に
Rainbow Harborに到着したと連絡を受けた。 
僕は陸路でLEGLUSを追いかけ、LongBeachに到着したのは6月26日。 
それからチームと合流して最後の合宿に入った。 

LEGLUSはLongBeachのRainbow Harborに日本からエントリーした他2艇
とならび係留されていた。  同じポンツーン(埠頭)には、昨年の優勝艇の
Sanba Pa Ti,  アメリカズカップにも何度も出場しているPaul Cayardが
スキッパーとして乗り込むFlashと、ともにヨット界の人ならば知らない人は
いない有名なヨットチームとならんで。  
そんなチームと同じ晴れやかな舞台に押し上げられて
誇らしい反面、同時にこころの中の一抹の不安が大きくなっていくのを感じた。  
日本からの他2艇はBengal7とTachyon III。 Bengal7はほぼ同じメンバーで
過去8年に4度ものTPに挑戦してきている。  オーナーの熱い情熱を感じずに
はいられない。
乗られているクルーもヨットに関わる仕事をされている一流のセーラーばかり。 
そのチームにNipponChallenge元クルーの原健さんも今年の挑戦から合流していた。  
僕にとってはヨットに乗り始めた80年代にNippon Challengeの応援していた頃からの
憧れのセーラー。 今回のキャンペーンとTPのレース準備を通じて知り合いに
なり、LEGLUSにもいろいろなアドバイスをしていただいた。 
またTachyonのオーナーはAbeam Consultantの西岡さん。  
この会社はロンドンオリンピックのヨット470級に出場を
目指すチームアビームを結成してオリンピック候補選手をサポート。 
男子チームの2名が今回のTranspacにはクルーとして乗船。 
さらにTachyonのスキッパーとしてヘルムを握る小松さんはチームアビームのヘッドコーチで
あるばかりでなく、オリンピックに選手としても監督としても何度も出場されている
日本ヨット界の大御所だ。  他の2艇のクルーの経歴を見れば見るほどに
素晴らしいものばかり。
それに引き換え、我々LEGLUSは選ばれたとはいえ、週末にだけヨットに
のる素人が中心。  ヨットスキルや経験ではとうてい彼らには及ばない。 
アメリカに来てからの準備期間にしても一番余裕があったLEGLUSであったが、やはり
直前までは全員が手一杯。 毎日スタート前の練習にでかける他のヨットを横目でみながら
出航できずに、整備や準備をこなすことでロングビーチでの時間がどんどん過ぎていってしまった。 

そして、不安はもうひとつあった。 それは前者よりもずっと大きな不安だった。 
ナビゲーターとしてLEGLUSをうまく風があるコースへ運ぶことが自分にはできる
のだろうか。  
LongBeachでの練習がやっとできたのはスタートの2日前、僕はナビゲーターと
して各セールセットでのデーターをPC上に集めながら、気象データーと組み合わせ
ながらレースの展開を考え始めていた。 
通常この時期には太平洋高気圧(パシフィックハイと呼ばれる)が大きく張り出し
その南側に吹く風をうまくつかまえてハワイを目指すのが常套手段。 
ただし、気圧の中心付近ほど風がないためにどの程度気圧の中心から離れたコースを
とるのか、ナビゲーターのスキルが問われる。 
コースを離れて帆走すると、その分風は強くなるが距離が増える。
風速でかせげるヨットのスピードと、遠回りする距離とのトレードオフを
どう考えるか。   インターネット上であふれる気象予報と実測された気象データの
狭間で、この二つの要素を組み合わせながら、どんなコースをひいていくのが
いいのか、準備や練習で疲れた体をベットに滑り込ませて目を瞑るとこの
疑問が頭の中をぐるぐるとめぐっていた。  
さらに悪いことに今年にいたっては、その太平洋高気圧の
張り出しが非常に弱く、複数の小さい高気圧が西海岸内陸周辺にちらばっていた。 
ということは、例年の常套手段以前に風があるコースを小さな高気圧が広がる
エリアのなかから見つけ出せねばならないということだった。 

そんな不安もスタートが近づくと、スタート前の興奮と、こなさなければならないいろんなことに
紛れて薄れていった。   そしてLEGLUSとクルーにとっては運命のスタート
7月2日が刻々と近づいていた。 


Bengal7に乗る原健さんと



レーススタート前日にNavigation Soft, Expeditionが予測したスタート直後(7月2日14:00)の予想天気図。 
太平洋高気圧の発達が弱く、アメリカ西海岸沿いにいくつも弱い気圧が発生していることがわかる。
レーススタート地点のロングビーチより沖側の風が非常に弱い(5ノット以下)が南側に下ると、10ノットの風が吹いている
海域が確認できる。


Expeditionが立ち上がっているPanasonic ToughBook   後ろにSSB無線機、GPS, VHF無線機が見える

2 件のコメント:

  1. 南さん、ご無沙汰をしております。昔LosGatosにいたJunです。驚きと興奮とともにEntryを楽しませてもらっています。今度日本にきたときは、是非生でそのお話聞かせてください!

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  2. Jun久しぶりだね。  元気にしているかい? 
    こっちはこんな冒険もさせてもらって、過去半年くらいほったらかしの家族孝行の最中です。  次回に一緒にビール飲めるのを楽しみにしてます。 

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