2009年8月21日金曜日

Transpac Class3 Start :TP-3

7月2日の朝がいつもと同じようにやってきた。
LEGLUSが所属するカテゴリー3のスタート日だった。

ロングビーチに到着してからは、レースチーム、回航チーム、そしてサポーター、
オーナーの皆で合宿した4ベッドルームのコンドを引き払い、レインボーハーバーへ向かう。 
本日は我々のクラスCategory3以外にCategory4,5にエントリーしているトータル19艇が同時にスタートする。 
いつもの朝とは違い、スタートを見学にきた人達や各チームのサポーター達で
ハーバーは活気に包まれている。   準備ができたチームから各々、ハーバーを
あとにヨットが出発していくが、その出発にあわせてTPYCのアナウンスでチーム
やクルーが紹介されている。 

そして我々LEGLUSも出発。 " Navigator, Hiro Minami "
アナウンスで皆の名前と一緒に自分の名前も呼ばれている。 
家族やサポーターが手を振っているのが見える。   
ハーバー内では我々ヨットと併走するアウトリガーカヌーがハワイまでの無事を祈ってAlohaの
大きな掛け声をくれた。 そして防波堤で守られているハーバーの外へでると
これから暫くの間はLEGLUSが世間から断ち切られることを実感するのだ。 
今までは、いろんな人に助けられてここまできたが、ここからはこれからの運命を
ともにする8名のクルーで助け合いながら進んでいかなければならない。   


スタート地点はLongBeachから西へ10マイル、San Pedroの沖にあるブイと
レース本部艇マストを結ぶ仮想ライン。 このラインを東側からクロスし、30マイル沖
にあるSt.Catalina島の北端を越えればあとの2200マイル以上はハワイを目指して
各々太平洋を西へ進むのみ。   
スタート海域には19艇の参加艇以外にたくさんのギャラリーがヨットやパワーボートが
集まっていた。  LEGLUSもオーナーやサポーターの一部はパワーボートでもスタート
海域まで最後の応援に来てくれている。    
スタート10分前をきると、海面が慌しくなる。  各チームともよいスタート
ポジションをとろうと、スタートラインぎりぎりをマニューバリングしている。
そして、7月2日午後1時ジャストにスタートの轟音とともに19艇は一斉にスタート
ラインをクロスした。 
スタート直後はこれからライバルになる19艇がならんでカタリナ島の北端をめざす。
50フィートクラスのヨットが一斉に舳先を西に向けて帆走するその姿は壮観だ。 
サポーターボートにはLEGLUSを応援する横断幕もみえた。 
通常のレースのスタートならば一番興奮しているときかも知れないが、今回は
意外に冷静な自分がいた。  これから進む2225マイルにどんな風が吹くのか、
どんなコースを進んでいくのか、どんなトラブルが発生するのだろうか? 
そんなことを考えていたせいなのか、スタートの興奮は一気に消えうせてしまった。 





レースをナビゲーションする上でTranspacというロングビーチからホノルルまでの2225マイルの
コースを大きく3つにわけて考えていた。    最初 はスタートしてからカタリナ北端
を回航し、南西のルートをとり西に舵を切り替えるまでの部分、 次に後ろから風を受けてスピンネーカー
を使い帆走する部分、そして最後はハワイ諸島にアプローチしてフィニッシュする部分。 
スタート後しばらく風が弱くなるだろう今大会はいままで以上に最初の1/3が重要と
考えていた。  カタリナ島を越えたあと、ハワイまでの最短距離を狙うならば、なるだけ
西向きに進路を取るだろう。  しかし今年の気圧配置を考えると、その方向に進むと
風が弱いエリアとぶつかってしまう。 レースの中盤から後半には高気圧が張り出し
風が吹き始めるかもしれないが、高気圧がいつ頃強くなるのか?また高気圧の中心が
正確に予想できるのか? それらを正確に予想することはベテランの気象予報士にしか
できない芸当だろう。  そんなふうに考えてLEGLUSがとるコースは南向きと決めていた。 
多分、他のヨットのほとんど南に行くのではないか。 そんな予想していた。

スタートから2時間、カタリナ島の北端が見えてきた。 各ヨットとも風向きが悪く、北端を
クリアできずに島の手前でタックで返してきたヨットとすれ違いながら、LEGLUSも
タック。 そして北端をクリアできる位置まできたら、再びタックで返して、あとはハワイまで
なにも障害物のない太平洋に好きなコースを引くだけだ。   


ちょうどあたりが暗くなりかける午後4時前にLEGLUSもカタリナ北端をクリア、LEGLUSは
南西を目指した。  ほとんどのヨットはLEGLUSが取っている角度と10度以内の範囲に
進んでいたが、予想に反してコースを西よりに舵を向けているヨットがいた。 Bengal7だった。
またハワイまでの距離は気にせずまっすぐ南に下りるヨットもいた。 
やはり日本からの参加艇のTachyonIII。 どこまで南に下りるつもりなのだろうか?
ハワイまでの距離を考えれば、翌朝までには南西にコースを戻したいところだろう。
そんなことを考えているうちにウオッチがスタート。 
ウオッチとはヨットを24時間走らせるために、各クルーが休憩のOffと操船を行うON
の二つのサイクルを繰り返すスケジュールのこと。 
LEGLUSでは4時間サイクルのウオッチを2交代で組んだ。 
各クルーとも4時間ONのあとに4時間のOFF。 1時間ごとにずらして
一人がOFFにはいり、同じポジションの人がONであがってくる。
これからハワイに到着するまでの間は連続では4時間しか眠れない
ということ。  OFFといっても、セールチェンジしたり、大きな仕事が
ある場合にはAllHandsで全員が起こされる。 24時間帆走し続けるという
ことは、こういうことなのだ。 

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